食料自給率の低下や食への不安など、食に関するさまざまな関心が集まる今、施設内で環境条件を制御し、農作物を生産する「植物工場」に注目が集まっています。
植物工場って、何?
工場という名称で呼ばれるのは、植物が育つ環境を綿密に調節することで、ある程度自然環境に依存していた栽培をより計画的かつ理想的に行うことが可能となるためです。植物工場で生産される野菜そのものは決して特別なものではなく、これまでに流通している水耕栽培野菜のものと変わるものではありません。ただ、植物工場の野菜は、環境を植物に合わせて細かく調節できるため、理想的な条件で育てられた野菜ということができます。
植物工場の特徴
植物工場の特徴は、CO2 濃度や気温、湿度、養分など植物が生長するための環境を整えることで、植物の生育を最大限まで高めることができるということ、閉鎖あるいは半閉鎖空間で栽培するため季節や天候に左右されない計画的な生産が可能になることにあります。レタスなどの葉菜類は、露地栽培に比較して、短い期間で収穫できることがわかっており、生産量が気候に左右されることもないため、電力や水環境が整えばこれまで作物を栽培できなかった地域でも栽培を行うことができます。
平面から立体へ
蛍光灯などの熱発生の比較的少ない光源を利用することで、多段式の栽培ラックを導入することができます。したがって、植物工場では、単位面積当たりの生産量は露地栽培の場合と比較してはるかに高くなります。また、清浄な空間で栽培を行うため、露地栽培の作物と比較して検出される生菌数も少なく、栄養価としてもビタミンの含有量などで露地野菜よりも優れているという報告もあります。
photo credit: Poster Boy NYC