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2 つのタイプの植物工場

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植物工場は大きく分けて2つに分類されます。1つ目は完全な閉鎖環境で、太陽光を用いずに人工光源のみで栽培する「完全人工光型」です。もう1つが温室に近い環境で、太陽光の利用を基本とし、人工光による補光や夏季の高温抑制技術を用いて栽培する「太陽光利用型」です。

日射量に左右されない「完全人工光型」

完全人工光型では、太陽の光をまったく使わずに栽培を行います。また、光だけではなく、栽培室を密閉構造にすることで、人工的に植物の栽培に適した条件を室内につくり出し、計画的かつ均一的に作物を生育させることができます。光源としては、開発当初は高圧ナトリウムランプなどが用いられていましたが、現在は熱発生の少ない蛍光灯の利用が主流になっています。前述の通り、熱発生の少ない光源を利用することで、栽培ラックを何段も積むことができ、単位面積当たりの生産量を劇的に高めることが可能となります。施設の設計次第では、10 段以上の栽培ラックを導入することもでき、近年では都市部などでの導入も進んでいます。

 

果菜類もOK、「太陽光利用型」

太陽光利用型は、高度化した温室といえるでしょう。太陽光の利用を基本としていますが、日照量が不足している際に高圧ナトリウムランプなどの光源で補光を行う施設もあります。太陽光利用型では、完全人工光型と比較して強光環境を作れるため、葉菜類だけでなく、イチゴやトマトの栽培施設の実用化も進んでいます。栽培に太陽光を利用できる一方、多段式の栽培ラックは使用できないため、生産量を確保するためには広大な敷地が必要となり、またイニシャルコストも大きくなります。そのため、都市部ではなく郊外での導入が主流です。また、夏季には直射日光による高温を防ぐため、天窓などを開いて外気を取り入れる場合があります。そのため、一部の太陽光利用型の施設では農薬の使用を余儀なくされるところもあります。

病害虫の防除がカギ

どちらの方式についても、清浄で均一な環境を保つため、病害虫の侵入には細心の注意が必要となります。特に、昆虫類は食害を起こすだけでなく、ウイルスや植物病原菌を媒介する可能性があるため、多くの施設では二重扉やエアシャワーなどを導入し、昆虫類の侵入を可能な限り防ぐ対策を行っています。

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