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水耕栽培のフロントランナー

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水耕栽培のフロントランナー

株式会社エム式水耕研究所会長

村井邦彦氏

 

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植物と対話する

植物も生き物であり、人間と同じで「人を見ている」のだと私は感じています。植物と50 年間過ごしてきて思うのは、植物は数字合わせでつくるというものではなく、生きているため状況は刻々と変化しているということです。そう考えると、植物工場を通して、対話をするように植物を育てていくことで、とてもよい作物ができていくのではないかと思います。「もの」として作物を捉えることもできますが、私は、「本物」という時代をみんなに魅せたいと考えています。将来を担う子どもたちにも、五感を通して本物を見せたい。根を見せることで根のある話をしたいです。生きているものの、味、香り、食感、色などといったものを五感を通して感じるという、子どもたちが忘れかけていることを伝えたいと思っています。

もう1 つ、都会の農業を考えています。建築と農業ということを考えると、都会にはビルがたくさん立っていて、その中に人間はいるけれど生命感を感じることが少ないと感じています。そんな中で、本当に生命というものが元気にやっていけるでしょうか。自然の恵みを求めるあまり、自然を奪うようになってしまったのではないかと思います。それを考えると、都会の中で生きていくためには、ビルの中に野菜があるというスタイルが考えられます。そして、野菜だけではなく酸素もつくる。残渣はエネルギーに換えて循環型の社会にしていくということも考えられるのではないでしょうか。このまま社会が繁栄していけばよいのですが、少子高齢化が進んでくると、必要のないビルが増えてきます。ビルの寿命は100 年といわれているので、空いたビルを植物工場として使うのもよいのではないでしょうか(4-1-(1) にて解説)。都会の人たちにビル農業で勉強してもらうのです。これから、農家がつくった食料に頼るのが難しくなってくるのではないかと思います。農家は6 割以上が60 歳以上で、若い人は農家になりません。その理由として、儲からないから、ということもいわれます。まず視点を変えないと、経営学は生まれません。経営のためには、やはりマーケティングが必要です。一方、企業はマーケティングという考え方はありますが、生き物を扱うノウハウはありません。その意味で、今立ち上がっている国のプロジェクトは(2-3-(3) にて解説)、本当の意味でのバランスがとれた取り組みだと思います。農業も大切だということがわかってもらえます。どんな人でも朝昼晩と食事をしている。もちろん、世界的な食料不足という問題もあります。そのときに、自然を耕すというと、滅びの世界になってしまいます。食料も他人に頼るのではなく、自分の手でつくるということになれば、この植物工場はとても発展するのではないかと思います。

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Creative Commons License photo credit: STC4blues

M式水耕が取り組む「魅せる」農業

1 つのアイデアとして、メガフロートではないですが、海を使えばいいと思います。そのような技術革新が起きてくると、農業による環境負荷はより減ってくると思います。水耕栽培は自然を破壊する産業ではありません。自然を守るためにこの植物工場、水耕栽培をやっていますし、もっとみんなの命を育てるビジネスをしていきたいと考えています。そのためには「魅せる」ことが大事で、隠していては決して発展しません。そのために、私たちの栽培方法を、子どもたちにも、老人たちにも見せています。そういうことが重要だと思っています。植物工場のような高度な技術に関しては、コンピューターで数値データをとってしっかりシステム管理をすればいいと思います。そしてコンピューターだけでなく、その植物を見て、好きになることが大事です。そうすることでうまくいくようになると、自信を持って言えます。うまく育たないのは、愛情がないからだと思っています。技術的なことだけでは言えない、植物を「見て」言えることがあると思います。その経験を得るには3 年くらいかかりますが。

また、LED など新しい技術に関しては、これからまだ発展する要素が十分あります。私どもはほとんど蛍光灯でやっていましたが、アグロイノベーションという幕張メッセでの展示会では、LED を使った植物工場を展示しています。まさに、植物工場の時代が来たかなと感じています。今、食育という観点で、根の付いた野菜を届ける「活菜生活」を始めています。キッチンが畑になって、そのまま食べられるのです。一時期、活魚というのが流行りましたが、活きた野菜を飾って、収穫して食べることを生活になじませていきたいと考えています。キッチンファームハーベストなど、レストランにも結構提供しています。レストランの中に畑があって、客がハサミでとって食べるようなイタリアンレストランや、焼き肉屋さんの事例もあります。


Creative Commons License photo credit: HankHankering

また、セルフファームという農園をつくっていて、「活菜生活」を持って帰るイベントを毎週やっています。植物の根を見ることが、それを手に取ったお客様の感動を呼び、再び来園していただいています。これからは、あまり大きくない、小さな野菜「ミニ活菜」に注目していこうと思っています。苗としても使えるし、そのまま食べても栄養があります。

私たちは、これからの農法を伝える、「アグリバイオカルチャーセンター」を2010 年に設立します。手のひらをデザインした施設で、アートと農業が融合したこの場所で、地域活性と食育に取り組みたいと考えています。農業が生命を育てるという文化の足がかりにしたい。植物工場の可能性は無限です。

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