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植物工場等への応用を見込む培地向けの樹脂の評価検討開始

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株式会社クラレは、1950 年に世界に先駆けてPVA(ポバール)繊維ビニロンの工業化に成功するなど、独創性の高い技術で様々な産業の新領域を開拓してきた。農業分野においても機能性樹脂を活用した被覆フィルムや寒冷紗を製造している。今回開発された新規親水性樹脂は、化学的・物理的に安定で、正確な条件比較が求められる研究において、保水力や保肥力にむらがあった既存培地の代替になると期待されており、高知大学農学部農学科の西村安代准教授と実用化に向けた研究が進められている。

研究には使いづらかった既存培地

栽培培地は、土壌の代わりとして植物体を根で支え、生育に必要な養水分の供給をする役割をもっている。その種類は、ロックウールといった無機物のものからピートモスといった有機物のものもあり、それぞれ水分や肥料の保持力が異なっている。一般に植物の栽培では生育に適した培地が使われるが、栽培研究においては、それに加えて処理の影響を正確に知る必要があるため、できる限り条件の揃っているものが望まれている。しかしながら、既存のものでは同一の袋でも使い始めと終わりで粒径にばらつきがあったり、有機物を含んでいるものは季節やロットで保肥力が異なったりすることがあった。また化学的安定性(液肥への溶出や吸着)や、物理的安定性(形状保持)にも課題があった。

正確な条件比較が期待される新規親水性樹脂

そこで、株式会社クラレでは物性が安定している新規親水性樹脂に注目して研究を開始した。これまでに西村准教授との共同研究で、新規親水性樹脂と他のプラスチック資材で比較試験を行ったところ、この樹脂が最も良好な生育を得ることができた。栽培品目は葉菜類だけでなく、果菜類のトマト、根菜類のミニダイコンも育成できた。培地の特徴として樹脂自体が養分を吸収することもなく、素材の膨張も少ないため、正確に施肥の効果を評価できることから研究用途に適切ではないかと考え、開発を進めている。さらに粒径も揃っており、素材が半透明なため根圏の観察においてもガラスビーズの代替として利用できることが期待されている。またハンドリングもロックウールに比べ、充填作業が簡単な点、水はけが良いため給水後の培地の移動が楽に行える点、使用後の培地は可燃物で廃棄ができる点が優れている。このように研究開発が進んでいるが、まだ培地として最適な粒径や形状には至っていないと考えており、多くの研究者からの意見をいただきたいと考えている。以上のような研究での評価や新しい活用方法を提案していただける研究者の方を募集している。興味のある方は以下へお問合せいただきたい。

写真:新しい植物栽培用培地として研究開発が進む親水性樹脂(粒径:3 mm ~ 4 mm、比重:1.19 gcm-3)

モニターに関するお問合せ先
株式会社クラレエバール事業部 山越 聡
※モニター募集は締切をいたしました。ご応募ありがとうございました。

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宮内 陽介/Yosuke Miyauchi 地域開発事業部/農林水産研究センター センター長 千葉大学大学院園芸学研究科環境園芸学専攻修了 博士(農学) 大学の修士、博士課程では、「中国乾燥地におけるダイズの多収栽培技術開発」という研究課題のもと、新疆ウイグル自治区に赴き現地の研究者ともに栽培技術の確立を行った。2012年リバネス入社。自身の研究経験を活かし、2016年にアグリガレージ研究所を設立、2019年より農業や畜産業に限定されない分野横断的な研究を積極的に推進していくため農林水産研究センターを立ち上げ、研究・技術開発を推進する。

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